「仮想通貨の所得を申告するのに必要な書類は何だろう?」
「経費にできるものって何があるのかな?」
「仮想通貨の利益を申告しなかった場合どうなるのかな?」
上記の悩みや疑問を解決します。
仮想通貨で20万円以上の利益がでると、確定申告が必要です。
いざ確定申告をする際、どんな書類を集めていいのか分からないですよね?
この記事を読めば、仮想通貨の確定申告に必要な書類がわかり、記入するだけの状態になります。
確定申告に必要な書類は申告書を含め、ぜんぶで5種類です。
記事の後半では経費に計上できるもの一覧を書いているので、ぜひ最後までご覧ください。
確定申告に仮想通貨の利益の申告は必要?
仮想通貨取引で利益がでたら一定の要件に応じ所得の確定申告が必要になります。
日本の所得税法では個人が得た収入の場合、申告納税方式と呼ばれる方式で正しく税務署に申告し、納税しなければいけません。
会社員は20万円以上の利益が出たら確定申告が必要よ。
毎年1月1日から12月31日までの1年間に発生した所得に対して、翌年2月16日から3月15日までの間に確定申告を行います。
まずはあなたが確定申告に該当するかどうか、確認していきましょう。
仮想通貨の利益を確定申告しないといけない人
確定申告しないといけない人を下記にまとめました。
・給与所得者(サラリーマン)
仮想通貨の所得(利益)が年間20万を超えた場合
・専業主婦(主夫)である配偶者
仮想通貨の所得(利益)が年間48万円を超えた場合
・被扶養者
仮想通貨の所得(利益)が年間48万円を超えた場合
・個人事業主・フリーランス
仮想通貨の所得(利益)が年間48万円を超えた場合
たとえば給与所得者(サラリーマン)に該当した場合、給与所得以外の所得が年間20万円以上だと申告が必要になります。
あなたがどこに該当するか上記を確認してみてください。
個人事業主・フリーランスの注意点
個人事業主・フリーランスの場合は年間48万円を超えないときでも、申告することをオススメします。
申告しなくても罰せられることはないですが、青色申告特別控除を受けるためには、確定申告期限までに所得税の確定申告をする必要があるからです。
ですので仮想通貨の所得(利益)が48万円を超えない場合でも申告をオススメします。
※補足事項
確定申告は一定の要件を満たした方がしますが、住民税の申告は1円でも利益があった場合、住民税の申告をしなくてはなりません。
住民税の申告方法はこちらの記事を参考にしてください。
どのような取引をすると課税対象になるのか?
仮想通貨の取引で一定の利益が出たら確定申告が必要になると説明しました。
そこでどのような取引が課税対象になるのか下記にまとめています。
- 仮想通貨を売却したとき
- 仮想通貨で買い物をしたとき
- 仮想通貨同士を交換した時とき
- マイニング報酬で仮想通貨を受け取ったとき
- レンディングで利益が出たとき
- エアドロップで仮想通貨を受け取ったとき
上記の取引で一定の利益が出た場合が、課税対象になります。
おもに、売却時に該当するケースが多いです。
仮想通貨の確定申告では損益計算をするために取引レポートが必要になります。
取引レポートは各仮想通貨取引所でダウンロードできるので積極的に活用してくださいね。
マイニング報酬とは
マイニング報酬とは複雑な計算を用いて、ブロックチェーンの取引承認作業を行った人が受け取れる報酬です。
マイニングをするには高性能コンピューターが必要で、ブロックを完成させた人には生成されたコインと取引手数料の報酬を得られる仕組みです。
レンディングとは
レンディングとは自身が保有している仮想通貨を貸しだして利益を得る方法です。
エアドロップとは
エアドロップとはブロックチェーンを利用したプロジェクトが、そのコインを保有しているユーザーに独自トークンや仮想通貨を無料配布することをさします。
仮想通貨取引の利益を申告する際に必要な書類
確定申告をする際に必要な書類(必要なもの)はぜんぶで5種類です。
下記の5種を揃えれば申告に必要な書類はすべて揃います。
- 確定申告書
- 添付書類台紙
- 源泉徴収票
- 仮想通貨の取引レポート
- 必要経費の領収書
次の見出しで上記5つの詳細と取得方法などを1つずつわかりやすく説明していきますね。
確定申告書
確定申告書には申告書Aと申告書Bがあり、どちらか該当する方を選択します。
確定申告書の提出先は納税地を所轄(しょかつ)する税務署長に提出することになっています。
どちらか該当する申告書を選択し提出しよう。
【申告書A】申告書Aはサラリーマンなどの給与所得者が給与以外の所得を申告する場合。
【申告書B】申告書Bは個人事業主やフリーランスが申告する場合。
確定申告書を取得する方法は下記のとおり。
- 税務署
- 確定申告会場
- 市区町村の担当窓口
- 相談会場
また申告書の郵送を希望される場合は、所轄税務署に連絡して送ってもらえます。
インターネットで書式をダウンロードする方法はこちらの国税庁のHPからできますので、ぜひ活用してください。
- 補足2022年分(令和4年分)の確定申告からは申告書Aが廃止され、ひとつの様式に統一されます。
添付書類台紙
添付書類台紙は先ほどの確定申告書とあわせて提出する、仮想通貨の取引履歴などを貼り付ける書類です。
添付書類台紙を取得する方法は国税庁のホームページからダウンロードができます。
源泉徴収票
源泉徴収票は給与所得者が確定申告をする際に必要な書類です。
所得税の計算のため、 収入を把握しなければなりません。
年末調整が終わった後に給与を貰っている会社から支給されます。
源泉徴収票は所属会社から1月末頃に貰えるぞ。
源泉徴収票の準備もしておきましょう。
仮想通貨の取引レポート
仮想通貨取引レポート(明細)は実際に取引をした履歴がわかるレポートです。
取引レポートでわかる項目は下記のとおり。
- 取引日時
- 取引種別
- 価格
- 通貨等
- 数量
- 手数料
国内取引所の取引レポートは各取引所でダウンロードができるので活用しましょう。
必要経費にできるもの
経費の領収書は、儲けた金額から経費を差し引くことで利益を圧縮できます。
必要経費の定義は仮想通貨取引のために支出したことを証明できるかどうかで判断します。
下記に経費として計上できる項目を並べました。
- 仮想通貨取引専用のスマホ代やPC代、周辺機器代(10万円未満)
- 仮想通貨の取得費
- 出金手数料
- 取引手数料
- コンサルティング費用
- 書籍代
- セミナー費用
- セミナーを受けるための往復交通費
- 会議費
- 交際費
- 仮想通貨の情報勉強会の食費
- 会計ソフトの使用料金
- 税務申告にかかった費用
- 税理士代
- 計算ツール代
- 電気代・通信費
上記の項目に該当すれば経費として計上できるので、コピーをしてぜひ活用してくださいね。
また経費として計上できない内容は下記のとおり。
- 私的な目的と疑われる項目
- 仮想通貨取引に直接の必要性がないもの
経費が否認された場合、経費額×税率が追徴されるので正しく申告しましょう。
税務調査される可能性があるので、安易に経費として計上する前に税理士さんに相談することも大切よ。
按分(あんぶん)計算
按分(あんぶん)計算とは、かかった費用を振り分けることです。
電気代や通信費、端末代は必要経費として認められますが、「仮想通貨取引に使った分」です。
たとえば端末代の場合、私生活で使った部分と仮想通貨取引で使った部分をわけることで、仮想通貨取引で使った部分を必要経費として扱えます。
・私生活=80%
・仮想通貨取引=20%
仮想通貨専用で購入した端末ならいいですがそうでない場合、按分計算は20%位で設定するといいでしょう。
スマホやパソコンから確定申告ができる
令和3年分確定申告(令和4年1月〜)から、スマホ・パソコンから「e-Tax送信」で確定申告ができるようになりました。
・スマホ&マイナンバーカード
・パソコン&マイナンバーカード
上記の組み合わせがあれば自宅にいながら申告ができます。
国税庁確定申告特集でさらに詳しく書いてあるので、ぜひ利用してみてくださいね。
仮想通貨の収入は雑所得
課税種目は10種類あり、仮想通貨の収入は雑所得に分類されます。
さらに雑所得の中でも課税方法が二つあり、仮想通貨の収入は総合課税に該当します。
・税種目→雑所得
・課税方法→総合課税
確定申告の税金の種類は沢山ありますが、仮想通貨の場合は「雑所得で総合課税」と覚えておくといいでしょう 。
仮想通貨の損益計算のやり方は2通り
仮想通貨の年間所得を計算するには、2通りの計算方法(評価方法)があります。
- 総平均法 :取引した仮想通貨の平均単価をもとめて計算する方法
- 移動平均法:購入ごとに計算する方法
総平均法は複雑な計算や取引回数が多い人に適しており、移動平均法はかんたんな取引かつ取引回数が少ない人に適してます。
上記どちらかの方法を決めて届け出を提出する必要があります。
下記の国税庁の資料には計算書と計算方法が記載されていますので参考にしてください。
- 仮想通貨の損益や具体的な計算方法を取りまとめた資料。
国税庁 個人課税課:仮想通貨に関する所得の計算方法等について - 仮想通貨の所得の計算は、国税庁の計算書を使うと便利。
国税庁:暗号資産に関する税務上の取扱い及び計算書について
評価方法の届け出の提出
仮想通貨の確定申告をする際は申告期限(3月15日)までに評価方法の届け出が必要になります。
確定申告と併せて提出するイメージです。
下記が国税庁の評価方法の届け出手続き方法ですので参考にしてください。
・[手続名]所得税の暗号資産の評価方法の届出手続
・[手続名]所得税の暗号資産の評価方法の変更承認申請手続
総平均法
総平均法は1月1日〜12月31日の期間に購入した通貨の平均単価額を用いて「合計購入金額」を「合計通貨量」で割った数字を使って所得額を決める方法です。
下記の表を見ながら悦明します。
【例】12/20にBTCをすべて売却し、その合計売却額が550,000円。
購入にかかった経費が20,000円だった場合を想定して計算してみます。
日付 | 数量(BTC) | 単価(円) | 合計(円) |
---|---|---|---|
4/1 | 3 | 11,000 | 33,000 |
6/1 | 1 | 22,000 | 22,000 |
8/1 | 2 | 25,000 | 50,000 |
10/1 | 2 | 30,000 | 60,000 |
12/1 | 3 | 36,000 | 108,000 |
合計 | 11 | 124,000 | 27,3000 |
平均単価 | – | 24,800 | 24,818.18 |
単価の合計÷単価の数=平均単価
124,000円÷5=24,800円
合計数量×平均単価=年間合計額
11BTC×24,800=272,800円
売却額-合計購入額=収入
550,000円-272,800円=277,200円
収入-経費=利益
277,200円-20,000円=257,200円
257,200円
上記が総平均法の計算方法ですが、実際はもっと複雑な取引になっている人も多いので計算ツールを使うことをオススメします。
移動平均法
移動平均法は、取引ごとに計算して1年間の総収入額をもとめる方法です。
まずは一回ごとの計算の例を紹介します。
たとえば、3月9日に5ビットコインを3,000,000円(手数料込み)で購入し、11月14日に 0.2 ビットコイン(手数料込み)を 150,000 円で売却した場合。
上記の例だと30,000円の利益が発生しているぞ
150,000 円 – (3,000,000 円÷5BTC)× 0.2 BTC = 30,000 円
(売却価格) -(1ビットコインあたりの取得価格×売却数量)= 利益金額
上記の計算式で一回分の取引の損益がもとめられます。
そして年間の取引をすべて合算して経費を差し引いた合計が所得(利益)です。
無料のプランがある仮想通貨損益計算ソフトを使用すると楽に計算ができますよ。
・Gtax (ジータックス)年間取引件数100件まで無料
・Cryptact(クリプタクト)年間取引件数50件まで無料
・CryptoLinC(クリプトリンク)年間取引件数200件まで無料
仮想通貨は繰越控除と損益通算ができない
仮想通貨の所得の申告は繰越控除と損益通算ができません。
1年ごとで完結するので注意が必要です。
【繰越控除の具体例】
令和2年に100,000円の赤字で令和3年に300,000円の黒字だった場合、差し引いて令和3年の所得を200,000円にして申告できるシステムです。
繰越控除とは
繰越控除とは、その年に控除しきれなかった損失金額を、最大3年間、翌年以降の確定申告に繰り越すことができ、繰り越した年の所得から控除することができる制度です。
【損益通算の具体例】
事業所得が1,000,000円の黒字で、不動産所得が1,000,000円の赤字だった場合、相殺して所得に対する税金を抑えることができます。
損益通算とは
赤字の所得と黒字の所得を相殺できる制度です。
仮想通貨の所得の申告では繰越控除と損益通算できないので注意しましょう。
確定申告をしないとどうなるのか?
確定申告が必要なのに無申告や申告漏れが発覚した場合、追徴課税をもとめられます。
- 延滞税
(原則、納付期限の翌日から2か月までは年7.3%、2か月を超えた場合は年14.6%) - 過少申告加算税
(原則、新たに納付する税額の10%、期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分は15%)に相当する過少申告加算税が課せられる - 無申告加算税
(原則、納付税額に対し、50万円までは15%、50万円を超える部分は20%) - 重加算税
(原則納付税額×35%、最大40%)
追徴課税が支払えないと、財産の差し押さえ(強制執行)がされることも……
2億円が追徴課税された事例
男性は2016年、ビットコインを購入し、他の暗号資産にも取引を広げた。17年末には1か月弱で保有するリップルの価値が約10倍に高騰し、資産価値は4億円以上に膨れあがった。一部は現金にしたが、大半は別の暗号資産に交換した。
交換分の申告が必要とは思わず、現金化した分を除いて確定申告しなかったが、昨年9月、税務署から申告漏れの指摘を受け、過少申告加算税を含む追徴税額は2億円以上になった。
男性は妻と幼い子どもの3人家族で、会社員としての年収は900万円程度。同12月に修正申告したが、保有する暗号資産の価値が大きく落ちていたため、現金化しても全く足りず、税務署に納税の猶予を申請中だ。男性は「働いて納められる金額ではなく、家族に申し訳ない」と話した。
暗号資産で申告漏れ、追徴2億円超も…年収900万円の会社員「納められる金額でない」
上記の事例のように「交換分の申告が必要とは知らず」とあるように知らないと恐ろしい事態になってしまいます。
この記事にはどのような取引をすると課税対象になるかを説明しているので、申告漏れがないか確認してくださいね。
まとめ 必要書類を準備してスムーズな申告できるように
確定申告で仮想通貨の所得を申告する際に必要な書類5種類を紹介しました。
確定申告はお金に関わることなので、書類はもれなく揃えたいですね。
最後にこの記事のまとめです。
・仮想通貨の所得の確定申告に必要なものは「確定申告書」「添付書類台紙」「源泉徴収票」「仮想通貨の取引レポート」「必要経費の領収書」の5種類
・年間20万円以上の利益があるサラリーマンは確定申告が必要
・仮想通貨の取引で課税対象になる取引は「売買」「交換」「利息を得た時」「貰った時」
・必要経費にできるものは仮想通貨の取引に支出したもの
・確定申告をしないと追徴課税がある
申告漏れなどがあると追徴課税をされる場合があるので、必ず申告しましょう。
この記事を見ながら確定申告に備えてくださいね。
この記事があなたの役に立ったら幸いです。
仮想通貨の確定申告書類に関するQ&A
- 仮想通貨の確定申告について
私は給与所得者(サラリーマン)です。
経費を引く前の利益が20万円以上ですが、経費を引いて利益が20万円以下になる場合に確定申告は必要ですか?
たとえば仮想通貨の年間利益が21万(手数料は引いた額)で、税金計算のためのツールに2万円支払った場合、利益は19万円になりますがこの場合も確定申告は必要でしょうか? -
必要経費を差し引いた金額が20万円以下であれば、確定申告をする必要はありません。 すべてを終えて20万を超えた場合、確定申告が必要です。
もし税務調査がきても対応できるように、領収書や書類は法人・個人問わず7年間保存しておきましょう。 - 会社での給与の確定申告は普段通りしています。
それとは別に仮想通貨(雑所得)分を税務署に届け出に行くという感じでも大丈夫なのでしょうか?
その時に、雑所得の計算は給与+仮想通貨での利益を足してその数%という考えで合ってるでしょうか? -
>>会社での給与の確定申告は普段通りしています。
上記は年末調整なので給与所得の分は解決です。
>>それとは別に仮想通貨(雑所得)分を税務署に届け出に行くという感じでも大丈夫なのでしょうか?
仮想通貨の利益は年末調整とは別で確定申告が必要です。雑所得の計算は
給与所得+雑所得×税率=所得税
で計算できます。 - 仮想通貨について質問です。
仮想通貨取引で140万円分の仮想通貨を買いました。
そして500万になったので売却して500万を銀行振込しました。
この場合は確定申告で必要な書類はありますか? -
確定申告で必要な書類は以下の通りです。
・必要書類
1.確定申告書
2.添付書類台紙
3.源泉徴収票
4.仮想通貨の取引レポート
5.必要経費の領収書
上記を揃えて確定申告しましょう。