Intel 12世代CPUや13世代CPUはLGA1700というCPUソケットです。
LGA1700は構造上CPUが反ってしまう問題があるといわれています。
CPUが反ってしまうとCPUクーラーの効果が薄くなり、CPUの寿命を短くしてしまう可能性が指摘されていますが、CPU反り対策の固定金具を使うことで問題は回避ができます。
今回、Thermalrightの固定金具を使ってCPUの反り対策をしてみたところ、CINEBENCH(10min)で3℃ほど温度が下がっていました。
この結果だけみると、私の検証環境ではCPUの反り対策金具を使っても大きな効果は無い印象。CPUクーラーや反り具合によって効果が変わるのかもしれません。
この記事ではCPUが反る原因やThermalrightの固定金具の使い方、温度計測の結果を解説します。
CPU反り対策の金具を使用すると改造とみなされ、CPUやマザーボードが故障した場合に保障対象外となる可能性があります。自己責任で使用してください。
CPUが反る原因
LGA1700ソケットに搭載するCPUが反る主な原因は、固定方法です。
LGA1700は、固定金具の真ん中にある突起でCPUの両サイドを押し付けて固定します。
CPUの裏面にある端子をマザーボードのLGA1700ソケットに密着させるため、CPUの両サイドにキズが付くほど強い力で押し付けていることがわかりますね。
CPU中心付近の両サイドだけを金具で押し付けることで、CPUが反りかえる現象が起こります。
CPUを装着した状態の写真見ると、CPUの中心部分の光漏れが多め。少し反っていそうです。
CPUが反るとCPUクーラーとの密着度が低下。熱伝導率が悪くなることでCPU温度が高くなってしまい、劣化を早める可能性が高くなってきます。
CPUの反り対策の専用固定金具
CPU反り対策用の固定金具「ThermalrightのLGA 1700曲げ止め金具」を紹介します。
ThermalrightのLGA1700用金具は以下3点がセットになっています。
- 本体
- トルクレンチ
- CPUグリス
裏面を見ると、反りを起こさないようにCPU全体を面で押さえる形状になっていました。
ThermalrightのLGA 1700曲げ止め金具の箱にはTagが付いていて、スマホでQRコードを読み込むと公式サイトが開きます。
公式サイトで16桁の数字を入力すると正規品かどうかの判定が出るので、購入したときは確認をしておきましょう。
CPU反り対策固定金具の取り付け方
CPU反り対策の金具取付は簡単ですが、急がず焦らないようにしてください。周りにコンデンサーなど精密部品が多く、傷をつけたり破損をさせると故障の原因になります。
ThermalrightのLGA 1700曲げ止め金具を取り付けるには、マザーボードについているCPU取り付け金具を外さなければいけません。
付属のトルクレンチを使って4カ所のネジを外します。
取り外したネジは使います。取り付け金具は無くさないように保管しておきましょう。
CPUにカバーを乗せます。このとき、CPUとカバーに印刷されている▲マークの位置を合わせてください。
CPUの表面に書かれた文字とカバーに印刷された文字(Intel12TH)が同じ方向を向くはずです。
カバーを付けたらネジ止めします。
画像の順番にそって少しずつ締めていけば問題ありません。
カバーのネジを締めたらCPUの取り付け完了。
あとはCPUグリスを塗ってCPUクーラーを取り付けます。
金具の取り付けは、急がずあせらず作業してください。
>>空冷CPUクーラーのDeepCool AK620をレビューしました。こちらの記事も参考にどうぞ。
対策後のCPU温度は少し低くなったか?
反り対策の金具を使う前と後で、CPU温度の変化があるか計測をしました。
計測にはCINEBENCH R23を使用。マルチコアのベンチマーク(10min)で温度差があるか確認をします。
CPUとCPUクーラーは以下。
- CPU:Intel i5-13600KF
- CPUクーラー:Thermaltake TH360 ARGB Sync 360mm
計測結果 | 最高温度 |
---|---|
金具取り付け前 | 73℃ |
金具取り付け後 | 70℃ |
取り付け後で3℃ほど最高温度が下がっていました。この結果だけ見ると誤差とも言えそうな温度差です。
私の検証環境では、それほど高い効果は得られませんでした。
CPUクーラーによって効果の違いもあると考えられます。計測結果は参考としてご覧ください。
CPU反り対策固定金具は自己責任で使用する
IntelはLGA1700によるCPUの反りは仕様の範囲と回答しており、改造による故障は保障対象外になる可能性も指摘しています。
CPU反り対策固定金具を使うと改造とみなされる可能性があるので、自己責任で使用するようにしてください。
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