NVIDIA DLSSを詳しく解説 AIアップスケーリング技術で4Kでもゲームが快適に!

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ゲームをもっと快適に。高価なグラフィックボードだからこそ、NVIDIA DLSSは注目すべき技術です。

技術は日進月歩。PCも常に新しい技術を追いかけてきました。ハード面も革新的な技術が開発されてきています。

知る人ぞ知る技術ではなく、PCゲーマーなら理解しておくべき技術。そんなNVIDIA DLSSについてAI技術ということからも解説します。

目次(見たいところからチェック!)

NVIDIA DLSSってなに?

NVIDIA DLSSとはなにか。なぜ注目される技術なのか。少し掘り下げていきましょう。

DLSSの説明の前に、NVIDIAとAIについて簡単に触れておきます。

NVIDIAとAI

NVIDIAはアメリカのカリフォルニア州サンタクララにある半導体メーカーです。

NVIDIA本社
出展:Wikipedia

GeForceシリーズといえばわかるように、PCゲーマーのみならず知名度の高さは群を抜きます。GPUの設計に特化した会社で、3Dモデリングに使われているQuadroもNVIDIAの製品です。すごく古くからあるように思いますが実は1993年創業と、まだまだ新しい会社だったりもします。

NVIDIAも紆余曲折があり、CPU内臓チップセットの事業から撤退しなければいけなくなりました。CPUメーカーが自社開発したことで、NVIDIAの必要性がなくなったのです。この状況から生み出されるのが、くしくもGeForceシリーズの進化でした。

ポイントになるのが、2016年のディープラーニングブームです。深層学習という学習手法が開発され、AIを劇的に進化させました。実はNVIDIAは、ディープラーニングに適したアーキテクチャをもっており、AIの面で圧倒的な地位を作り上げることに成功するのです。

そこで生まれてきたのがNVIDIA DLSSでした。なんだかすごい技術だと思いませんか?

ちなみにディープラーニングブームのあとに開発されたのが、任天堂との共同開発でできたswitchです。

NVIDIA DLSSはAIを使って映像のクオリティを上げる技術

DLSSとは「Deep Learning Super Sampling(ディープラーニングスーパーサンプリング)」の略称です。

GeForce RTXシリーズにはTensorコアというディープラーニングに特化した演算回路を内蔵しており、回路を多次元配列して大量のデータに対する複雑な処理を可能としました。

ディープラーニングを使った技術とは、AIに学習させて映像クオリティをアップさせることです。

DLSSはNVIDIAのスーパーコンピューターを使って、AIのトレーニングと改善を行っています。改善されたAIモデルはGame Ready ドライバーを通じてRTXシリーズが搭載されたPCに配信されます。そして、アンチエイリアシングなしと64倍のスーパーサンプリング画像を比較させた学習データをTensorコアで処理させるのです。

これがゲームの画像をきれいにしながらも、軽い状態を作り出すポイントにつながります。

DLSS 3のサンプル動画

ゲームの画面がきれいになって軽くなる。これだけではまだわかりにくいですよね?まずはNVIDIA RTXシリーズにだけ許された技術ということを覚えておいてください。

TAAとDLSS

ゲームの画像処理ということでは、TAAがあります。「Temporal Anti-Aliasing」という技術です。

ゲームの映像設定でTAAとしてよく見かけますよね。

ホグワーツレガシーのTAAセッティング画像
PC版ホグワーツレガシーのTAAセッティング

TAAは画像を滑らかにする技術でギザギザな線を滑らかにすると思えば、大方間違いではありません。前後にフレームを入れ込むことで、ギザギザ感を抑えて滑らかに見せるからです。

TAAもありがたい技術なのですが、複数のフレームを作る点に問題がありました。フレームを作れば処理負担が増えます。複雑な動きになると処理がついてこれず、重くなり、ちらつく場合も出てくるのです。

TAAはゲームの画像としてきれいだけど、処理が重いという諸刃の剣です。

NVIDIA DLSSでは前後にフレームを入れ込んで滑らかにするのではなく、学習したデータで画像そのものを処理させます。

リアルタイムにフレーム単位の画像処理をする。それも過去のフレームもさかのぼって参照して処理するため、DLSSは軽量かつ高画質を実現できるのです。TAAとは根本的な部分で違います。

処理を軽くすることの意味

すこし触れましたが、NVIDIA DLSSでは画像をきれいにするだけではなく、処理を軽くする技術です。

AIによって最適な状態を作り出すためですが、実はPCゲーマーにとって絶対に避けては通れないフレームレート(以降fpsと表記)の改善に寄与してくれます。

以下の画像はCod MW2でDLSSのテストをした結果です。DLSSオンにしたとき、大幅にfpsが向上していることがわかります。

CodMW2 DLSSテスト
Cod MW2のDLSS結果

フレームレートが向上すれば滑らかな動画描写を実現できるため、多くの場面でメリットを感じられるでしょう。ここが注目されやすい部分ですが、実はPCゲーマーにとってその先が重要です。

フレームレートを改善できるとどうなるでしょうか?

軽くなったことでGPUのパワーに余裕が出てきます。このパワーをほかに回して解像度を上げることはもちろん、グラフィック処理に振り分けてパフォーマンスをアップもできるわけです。

画像という見た目だけではない、PCゲーマーにとって素晴らしい技術なのがわかるでしょう。

DLSS 対応グラボ

NVIDIA DLSSはRTX3000シリーズ、RTX4000シリーズなど、NVIDIA RTXシリーズでしか使えません。

NVIDIA DLSSは技術として素晴らしいですが、グラフィックボードにTensorコアがなければ始まりません。

もうちょっと細かくみるとCUDAコアとRTコアもないと、求められる画像処理能力やレイトレーシングに対応できないのです。つまり、条件をそろえたグラフィックボードを搭載しなければ使えません。

この条件をクリアできるのは、NVIDIAのRTXシリーズです。

RTX3060Tiのパッケージ
RTX3060Ti

2018年に登場したRTXシリーズには、DLSSのほかリアルタイム・レイトレーシングや可変レートシェーディング機能が搭載されました。接続スロットとしては互換性をもっていますが、機能としては大幅なバージョンアップがはかられたのです。

ただし、グラフィックボードは決して安くありません。PCのパーツとしても高価ですので、NVIDIA DLSSがいかに優れていても高いハードルとなる問題なのです。

NVIDIA DLSSはどんな映像もきれいになるわけではない

前提条件として、ソフト側がNVIDIA DLSSに対応しなければいけません。

DLSSに対応していないソフトまできれいにしてくれる技術ではないのです。

ターゲットになるのは、もともと映像処理に大きな負荷を発生したタイトルになります。RTXシリーズであれば、そもそも動きは軽やかですよね。低解像度のソフトなら軽量化する意味はないほどです。

きれいにならなくても軽量化できるのだから使えればいいと考えませんか?なぜ対応させないのかといえば、フルHD程度だとオンにするほうが負荷が高まる可能性があるためです。ただし、低解像度でもさらに軽量化できるような技術も開発されてきており、将来的にはどのような解像度でも対応する可能性はあります。

アップスケーリングという引き延ばし処理もするNVIDIA DLSSのため、条件によってはモヤッとした映像になる場合があります。高画質化したようで、実はたいして変わらないと感じることもあるでしょう。

これもNVIDIA DLSS2で大幅に改善され、アップスケーリングの性能は驚くほど進化しています。

RTX 4000シリーズでDLSS3となり、さらに品質が向上しています。

NVIDIA DLSSと関係技術

NVIDIA DLSSは、さまざまな恩恵をもたらす技術です。

RTXシリーズでしか使えないのは事実ですが、それだけ大きなメリットをもたらします。

画像をきれいに美しくして軽くする。これだけではない関連技術との関係性も大事なポイントです。

アップスケーリングがもたらす4K以上の恩恵

NVIDIA DLSSの処理は、最新のハイエンドTVと変わらないレベルに引き上げます。ここにアップスケーリングと呼ばれる技術がかかわってくるのです。

すこしだけ前述していますが、アップスケーリングとは、映像を拡大できる技術と考えれば分かりやすいでしょう。もう少し正確にすると、元の映像よりも画素数を増やして高精細にする技術です。

たとえば、1枚の画像を2倍に拡大するとします。そうすると、映像の情報は2倍ではすみません。2×2で4倍必要です。でも、単純に4倍しただけでは四角い情報ができあがるだけです。つまり、細かくならずに荒くなっただけになります。情報量はなにも増えていないので、ぼんやりした映像になるわけです。

DLSS アップスケーリング

NVIDIA DLSSのアップスケーリングは、情報を変換し作り上げます。本来4Kに対応していなかった1080pの画像も高精細に引き延ばせるのは、単純に拡大するのではなく、画像を美しく高精細に変換して補完するからです。

RTX4000シリーズから利用できるDLSS 3では、フレーム生成機能が追加され、もっと細かく滑らかに表示できるようになりました。アップスケーリングとしての高い恩恵。これも大きな特徴です。

RTXシリーズがもたらすレイトレーシング

ゲームだけではなく、映画でも光によって臨場感が伝わり、情景が変わります。特殊効果にも欠かせませんが、この処理をレイトレーシングと呼んでいるのです。

ゲームでは、リアルタイムに映像が変わります。見ている視点で変化するわけですが、映画よりも処理は大変です。そこで考え出されたのが、リアルタイム・レイトレーシングでした。

レイトレーシングのサンプル画像
NVIDIA レイトレーシング PORTAL

レイトレーシングは、RayとTraceのことです。Rayが光、Traceは追跡ですので、リアルな映像処理ということで考えればいいでしょう。

ですが、光源を増やしたとたんに処理が重くなる。下手をすれば遊べる状態ではなくなりソフトも落ちてしまう場合もあるわけです。

RTXシリーズのもつレイトレーシングは、自然の情報と同じように計算してリアルタイムに光を作り出します。元のデータの範囲内で作り出すため、これまでの処理方法より軽く作り出せるのです。それでも膨大なデータを相手にしなければいけません。そこでNVIDIAでは、RTXシリーズ意向でのみ対応するようにしました。

それでも、とんでもなく重い処理です。そこでポイントになるのがDLSSでした。処理を軽量化できるDLSSとレイトレーシングを組み合わせることで、RTXシリーズは負担を少なくできたのです。

NVIDIA DLSSはゲームの世界に変革をもたらす

NVIDIA DLSSは、RTXシリーズだけに許された技術です。AIによる技術革新がもたらした結果ともいえるでしょう。それもゲーム専用に開発されてきた技術なのです。

高精細でありながら軽量化でき、アップスケーリングによって4Kでもきれいに見える。価格も含めデメリットを補うだけの魅力が詰まっていると思いませんか?

将来のゲームには欠かせない技術ともいえるだけに、ゲーミングPCの新調や新たなグラフィックボードの購入も視野に入れてみてはいかがでしょうか。きっと満足いく結果が待っていますよ。

主にフルHD~WQHDモニターでゲームを楽しみたい方は、RTX3000シリーズの記事をご覧ください。

WQHD~4K、さらに高フレームレートでゲームを楽しみたい方は、RTX4000シリーズの記事がおすすめです。

NVIDIA DLSSのFAQ

DLSS 対応グラボは?

NVIDIA Geforce RTXシリーズで使うことが可能です。

>>DLSSが使えるRTXシリーズのグラボは、こちらの記事で紹介しています。

DLSSを使うと、どれぐらいフレームレートが上がりますか?

ゲームやPCのシステムによりますが、30fps~50fps程度あがることが確認できています。

DLSSをオンにすると、画質が下がった気がします・・・

ゲームによって画質がボヤっとすることがあります。

RPGやシミュレーションでは気にならないですが、競技性の高いFPSゲームでは相手の視認性が落ちることがあるので注意が必要です。

DLSSが使えるなら使ったほうがいい?

ゲームで十分なフレームレートが出ているなら、DLSSはオフで問題ありません。

DLSSをオンにすると画質に影響がでることがあるので、必ずしもオンにする方が有利とはいえません。

RTX3080でDLSS 3は使えますか?

使えません。RTX3080はDLSS 2に対応しています。

DLSS 3はRTX4000シリーズから対応です。

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