「ロスカットってなに?」
「どうなるとロスカットされるの?」
「ロスカットされないためには?」
今回は、経験するのは避けたいけど知っておくべきFXのルール「ロスカット」について解説します!
ロスカットとは、含み損が大きくなりすぎるとFX会社によって強制的に取引終了となる仕組みです。
これだけ聞くと「そんな、理不尽な…」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、実はロスカットがあることで投資家の資産は守られているのです。
なぜロスカットが資産保護につながるのか?ロスカットの仕組みとともに理解していきましょう!
- ロスカットの仕組み
- ロスカットと損切の違い
- どうなるとロスカットされるのか
- ロスカットされないための注意点
ロスカットとは?
FXのロスカットとは、膨らんだ含み損をFX会社が強制的に決済し、それ以上の損失から投資家を守る仕組みです。
FXはレバレッジを効かせた運用が基本戦略となるため、少ない投資金額で大きな利益を狙えます。
その反面、レバレッジの高い運用は損失も大きくなります。
もしロスカットが無ければ、相場の急変時に損失が膨らみ続けてしまうんです。
ロスカットの目的
ロスカットは投資家の損失を抑えるために存在します。
ロスカットは損失が確定するので、投資家にとって辛いシステムです。
ですが、もしロスカットされなければ必要以上に損失が膨らむため、一発退場も考えられるでしょう。
傷が浅いうちならば、再び相場に戻ってチャンスを待てます。
ロスカットで損失が確定するのは悲しいですが、実は投資家の資産を守る側面もあるのです。
ロスカットと損切の違い
FXでのロスカットとは一般的にFX会社が執行する強制決済を指します。
それに対して、自分の裁量で決済する損切りはストップロスといいます。
FXに常勝無敗はありえない。
適切に損切りをしてトータルで勝利を目指そう!
ポジションを持つときは撤退ラインを決めておくのが重要なんだね!
ロスカット=負け組(勝てないトレーダー)
少し厳しい話ですがロスカットされる状況は、大切な資産のリスクコントロールができておらず、冷静な判断を欠いていたと言えます。
プロのトレーダーは資金管理を徹底しており、高いレバレッジでの取引はしていません。
相場に残り続けてチャンスを掴むためにも、ロスカットされる前に早めの損切りを徹底しましょう。
2018年に実施された「外国為替証拠金取引の取引顧客における金融リテラシーに関する実態調査」では、FXの取引で損失を出してしまった原因の1位として「損切りができなかった」ことが挙げられています。
【損失を出してしまった原因ランキング】
1位 損切りができなかった 56.5%
2位 根拠の薄い取引をしてしまった 37.7%
3位 損切りのタイミングが早すぎたから 28.5%
引用元:金融先物取引業協会
ロスカットのルール
ロスカットの執行にはFX会社ごとにルールがあります。
基本的には証拠金維持率が決められた水準に到達したらロスカットが執行されます。
事前連絡(マージンコール)も会社で条件が異なるので取引するFX会社の条件を確認しておきましょう。
証拠金維持率とは
証拠金維持率とは投資している純資産のうち必要証拠金として使っている割合を指します。
上の算出方法は上の計算式の通りです。
たとえば、FXトレーダーAさんの投資資産が20万円としましょう。
為替レートが1ドル100円の場合、必要証拠金は1万ドルに対して4万円。
この条件での証拠金維持率は500%となります。
【証拠金維持率の計算例】
20万÷4万×100=500%
20万円の資金で取引通貨量を増やしていくと、証拠金維持率は次のようになります。
取引通貨量 | 必要証拠金 | 証拠金維持率 |
---|---|---|
1万ドル | 4万円 | 500% |
2万ドル | 8万円 | 250% |
3万ドル | 12万円 | 166% |
4万ドル | 16万円 | 125% |
5万ドル | 20万円 | 100% |
必要証拠金が増えるほど、証拠金維持率が下がるんだね。
ロスカットアラート(マージンコール)とは
ロスカットアラートとは、ロスカットが実施されるより前に、投資家へ危険な状況を知らせる事前連絡です。
マージンコールとも呼ばれます。
FX会社によって基準は異なりますが、証拠金維持率200%以下になるとマージンコールが発令される傾向にあります。
マージンコールが来た時点で、資産は危険な状態です。
目論見どおりに運用が進んでいるか、冷静に投資方針を見直しましょう。
マージンコールが来た時点で、すぐに対策しないと手遅れになるぞ。
ロスカットのルールは各社に違いがある
ロスカットのルールはFX会社によって異なります。
例えばA社では証拠金維持率が100%でロスカット、B社は50%でロスカットといった具合です。
証拠金維持率がいつ、〇〇%になったらロスカットされるのか、取引前に一度確認しておきましょう。
ロスカットの手数料
一部のFX会社はロスカットを執行するときに手数料が発生します。
ただでさえ為替差での損失があるのに、さらに手数料がかかっては踏んだり蹴ったりですよね。
ロスカットにならないようにリスクコントロールを徹底しましょう。
ロスカット手数料一覧
FX会社 | ロスカット手数料 |
---|---|
1万通貨毎/税込500円 南アランド/円とメキシコペソ/円のみ10万通貨毎/税込500円 | |
無料 | |
無料 | |
1通貨毎/税込5銭 南アランド/円とメキシコペソ/円のみ1通貨毎/税込0.5銭 | |
無料 | |
無料 | |
無料 | |
無料 |
ロスカットが発生する事例
ロスカットされたいと思っている人はいませんが、それでもロスカットは発生しています。
とくに初心者のうちは、本人も気づかない内に想定以上のリスクを取っている可能性があるので注意しましょう。
ネットを見渡すとロスカットされている事例も散見されています。
【ネットで見つけたFXのロスカット例】
・下降トレンド中に反転上昇を期待して、値ごろ感でナンピンを繰り返した結果、マイナスのポジションが膨らみロスカットされた。
・想定している以上のレバレッジをかけて暴落時に強制ロスカットされてしまった。
証拠金維持率を確認し、低いレバレッジでの運用がロスカットされないためのポイントです。
ロスカットが発生した人の口コミ
ロスカットが執行されてしまった人のツイートも見てみましょう。
引用:みやき
引用:マナブ@仮想通貨
引用:暇人
ロスカットを回避するには?
ロスカットは証拠金維持率が基準を下回ると執行されます。
そのためロスカットを回避するためには証拠金維持率の管理が重要です。
証拠金維持率を上げて、ロスカットを回避するための具体的な方法を5つ紹介します。
・追加で資金を入れる
・ポジションの一部を決済する
・低レバレッジで運用する
・ストップロス(損切り)を活用する
・スキャルピングを利用する
それぞれ、詳しく解説します。
追加で資金を入れる
追加資金を入金することでロスカットの確率を抑えることができます。
なぜなら、口座資金を増やせば証拠金維持率を高くできるからです。
しかし、資金を追加で投入しても相場の流れが変わらなければ、損失はさらに拡大します。
資金を追加する場合は慎重に判断しましょう。
ポジションの一部を決済する
ポジションの一部を決済すれば、証拠金維持率は下がります。
ポジションを減らした分だけ、必要証拠金が少なくなるからです。
運用が思うように進まなければポジションを解消し、損失を一部にとどめて次のチャンスに備えましょう。
低レバレッジで運用する
ロスカットを避けるうえで、レバレッジのコントロールは欠かせません。
レバレッジを高くすると負けた時の損失も大きくなるからです。
そのため、相場が想定の反対方向に動くと一気に損失が膨らんでしまいます。
初心者のうちはレバレッジを1~3倍に抑えて運用しましょう。
ストップロス(損切り)を活用する
ストップロス(損切り)のオーダーをあらかじめ入れましょう。
なぜなら、相場が予測の反対に大きく動いた場合でもロスカットを避けられるからです。
損を抑えて、利益を伸ばす。『損小利大』がFXで勝つための重要な考え方です。
しかし、実際に相場と向き合うと「あと少ししたら反転するかも」「もう少しだけ値を戻してから売りたい」といった感情から、損切りラインを変更してしまい、傷口をさらに広げかねません。
損切りはFXで勝利するためのコストと割り切って、トータルでの勝利を目指しましょう。
スキャルピングを利用する
スキャルピングとは、数秒~数分の短い取引時間で利益を狙うトレード手法です。
投資期間が短いため、資金が変動リスクにさらされる時間も短くなります。
1回のトレードで取引する為替変動の幅が小さいので、ロスカットされにくいトレード方法と言えるでしょう。
ロスカットの注意点
ロスカットは投資資産の一部を守る仕組みですが、頼りっきりにはできません。
なぜなら、ロスカットの執行が基準ラインを割り込んで間に合わない可能性があるからです。
過去には相場の急変により、ロスカットが間に合わない事例も発生しています。
ロスカットがあるからといって、資産管理をおろそかにしてはいけません。
相場急変時には証拠金以上の損失が発生した事例も
相場の急変時にはロスカットが間に合わず、証拠金以上の損失(借金)が発生しています。
過去の大きな相場変動の事例として「スイスフランショック」が挙げられます。
2015年1月15日、スイスの中央銀行は3年3か月続けていたユーロ/スイスフランに対する無制限介入の為替方針を突如撤廃しました。
結果としてユーロスイスフラン相場は一時31%の急落となり、個人投資家の多くが大損し、スイスフランを仲介していた為替業者が破綻するなど、大きな混乱をもたらしました。
相場の急激な変動により、基準を大きく下回る価格でロスカットされ、FX会社に対する負債を抱えてしまった投資家も少なくありません。
スイスフランショックでは1,137名の個人投資家に19億4800万円の未収金(借金)が発生しています。
ロスカットで借金しないために
ロスカットが間に合わずに損失が発生する主な要因は、相場の急激な変動です。
相場がパニックにおちいると、価格レートは一方的に進み、売買が成立しなくなります。
特に、マイナーな通貨ペアは取引している投資家が少ないため、少しのニュースで大きく価格が動くことがあります。
多くの投資家が売買する通貨ペアは、取引される機会も多く比較的安定した値動きとなります。
自分の投資先がどれだけの変動リスクを含んでいるか把握しておきましょう。
初心者には流通量の多い円、ドル、ユーロの3通貨での取引をおすすめだ!
ロスカットまとめ
ロスカットは投資家の資産を守るための仕組み。
ですが、過去には間に合わない事例も発生しており、過信は禁物です。
大切な資産を運用するうえでもリスクを理解して取引しなければ大きな損失を招きます。
ロスカットされないように、資産の管理を徹底しましょう。
・ロスカットとはFX会社が膨らんだ損失を強制決済する仕組み
・ロスカットの基準はFX会社で異なる
・相場が急変するとロスカットが間に合わない可能性がある
・ロスカットされないように、レバレッジやリスクの管理が重要
・資産管理をおろそかにしない
最後までお読み頂きありがとうございました(^^)/